ユーザー会レポートサイボウズ Office活用研究会
〜「ペーパーレス」や「直行直帰での情報共有」のコツが多数登場〜
2019年1月16日、サイボウズの本社にて「サイボウズ Office 事例研究会」が開催されました。
サイボウズ Office ユーザー企業の方々4名にお集まりいただき、サイボウズ Office導入の経緯から実際の活用状況、得られた効果、業務での工夫などについて共有。明日からすぐに活用できるヒントが数多く得られる、貴重な場となりました。
INDEX
紙が多く、ITが苦手な人も多い不動産業界で取り組む利用浸透の工夫
投資用マンションの売買や賃貸管理を手掛ける株式会社SRコーポレーションは、工事やリフォームなどを行うグループ会社4社とともに、ワンストップでオーナーや入居者の要望に対応できることを大きな強みの1つとしています。
そんな同社で課題となっていたのが、紙に頼った業務が中心で、十分かつ迅速に情報を共有できていなかったこと。「応接室の予約は紙で行っていたために、後からの変更内容が伝わらず、ダブルブッキングしてしまうことがありました。各種申請も紙で行っており、外出先から情報を確認することができない問題もありました」と、マーケティング統括部 統括部長の白井 丈久様は語ります。
サイボウズ Officeの導入は、そこから始まりました。
ワークフローの名称を「申請と精算」に変更。ITが苦手なユーザーの使い勝手を高める
スケジュールや施設予約、掲示板などを活用して、今も「見える化」と「情報共有」を推し進める最中と語る白井様。
この日、特に注目が集まったのは、現場になじみがないと判断し、ワークフローを「申請と精算」と分かりやすい名称に変更されていた点でした。サイボウズ Officeの導入にあたっては、ITが苦手なスタッフからの反対も多く、説得に苦労したと言います。そんなスタッフが多い現場にも使ってもらいやすいよう、きめ細かな工夫が施されており、その1つがワークフローを「申請と精算」という名称に変更したことでした。
その結果、同社ではサイボウズ Officeの利用が浸透、当初と比べると大幅なペーパーレス化が実現しています。
また、常にサイボウズ Officeを開いてもらえるよう、アプリケーションメニューにサイボウズ Office以外のシステムへのリンクを追加し、サイボウズ Officeからすべての業務が始められるような工夫も行っています。
「ただいま商談中」にリアクション機能を変更することで商談状況を手軽に共有
掲示板では、図面などを含めた商談用の物件情報を掲載しており、営業が掲示板内の物件情報を見て営業を行っています。リアクション機能の文言を「いいね!」から「ただいま商談中」に変えることで、誰が商談中なのか一目瞭然となる活用方法が特徴的です。
商談後に成約したら、その旨をコメント欄に記載することで、すでに他で商談が進んでいたり、成約したりしている物件について商談を進めてしまったりというトラブルを回避することに成功しています。
直行直帰が多い訪問美容でも情報共有を徹底できる、サイボウズ Office活用法
訪問美容サービスを手掛ける株式会社 un.では、疾病や怪我、ご高齢、妊娠中など、それぞれの事情で美容室に行けない方のもとへ伺い、ヘアカットやカラー、パーマ、ネイルアートなどを提供する事業を展開しています。
以前はLINEを駆使して、直行直帰の多いスタッフとの情報共有を行っていましたが、情報の周知徹底や集約が難しい状況でした。「サイボウズ Officeを活用することで情報共有が円滑になり、昨年の事故件数ゼロにも繋がりました。残業時間も一人あたりマイナス20時間の削減に成功。サイボウズ Officeとともに会社も成長しています」と語るのは、代表取締役社長 湯浅 一也様です。
カスタムアプリを中心に活用、情報の周知・集約を簡単に
サイボウズ Officeのトップページには、経営理念や今期のテーマ、登録美容師へのお知らせ、そして"今月の名言"といった情報を掲載することで、一体感の醸成に役立てています。「随時更新しながら情報を伝えていくことで、ようやく会社として一緒の方向に向かっていけるようになりました」と湯浅様。
現在は特にカスタムアプリを駆使しています。その中でもよく使われているカスタムアプリの1つが「売上管理アプリ」。これは、直行直帰が多いスタッフが外出先からも簡単に日々の売上を報告できるようにし、かつ随時集計までできるようにしたアプリです。
契約が増えれば、転倒など事故の発生件数も増えやすくなるため、事故につながる恐れがあった事態を共有できる「ヒヤリハットアプリ」も用意。「事故の予兆を意識・共有することで、大きな事故を未然に防げるようにしています。昨年の事故件数ゼロにも貢献してくれたように思います」と力説します。
スタッフ全員がカスタムアプリを量産、「作らないと注意するほどに」
そのほかにも同社では、「施設カルテアプリ」「SNS共有アプリ」「採用情報アプリ」「感染症対応アプリ」など、さまざまなカスタムアプリが草の根的に数多く生み出されています。その理由は、パートも含めたスタッフ全員がカスタムアプリの作成を許可されているから。
「作るのを制限するどころか、むしろ作らないと注意するほどにしています。おかげで、ついに全部署にカスタムアプリを作れる人材がいる状態になりました」
今では業務で課題を見つけると、皆がまずはサイボウズ Officeで解決できないかを考えるようになったと語ります。今後もどんなカスタムアプリで業務改善が進むか、期待が高まります。
開店休業状態のサイボウズ Officeを
使ってもらう基盤に変える挑戦
セラミックフィルターのろ過器の製造販売を中心に事業を展開し、2018年には創業100年を迎えた日本濾水機工業株式会社では、以前からサイボウズ Officeを導入していたものの"開店休業状態"が3年あまり続いていました。
スケジュールの基本機能は使っているものの、それ以外の機能はほとんど使われておらず、どんな些細なことでも伝えることに時間がかかっていました。また、勤怠関連や経費など、あらゆる申請が紙で行われていた同社では、営業担当は外出後に帰社して、こうした事務手続きに2時間もかけるような状態が当たり前になっていました。
「もともとは、他の社員と同様に、私もサイボウズ Officeのことはよく分かりませんでした。しかし、サイボウズ Office担当に任命されて、いろいろ使っていると、便利なものであることが分かってきました。そこで、何とか全社で簡単に情報共有するためのツールにならないかと考え始めました」と業務課の足立 藍様は語ります。
まずはスケジュール、ワークフローなどからしっかり利用
スケジュールは、今ではただ予定を共有するだけでなく、アドレス帳と連携して、予定に関連する取引先の情報を表示するなどの活用も行っています。
また、紙で行なっていた各種申請はワークフローに移行し、総務関連の申請はほぼすべて電子化することに成功しています。利用者は外出先からでも申請を行うことができ、申請の状況をリアルタイムに確認できるようにもなったことが大きなメリットと説明します。
カスタムアプリで営業効率アップ
カスタムアプリも数多く作成されています。例えば「営業日報アプリ」。それまでは毎週1〜2回、営業担当が半日も在社して作成していた週報を廃止し、このアプリを使って日報の形で報告することにしました。報告の頻度も上がり、カスタムアプリなら外出先でスマートフォンからでも報告を作成できるので、デスクワークに費やす時間は減少。営業活動に充てる時間を増やすことができたと説明します。
また、会議のたびに作成していた資料用の数値データを自動集計できるようになり、業務負担が大きく軽減できたと足立様。
現場のチームと足立様が所属する業務課でタスクを共有するアプリも作成。依頼内容や処理者、緊急度、期限などを設定することで、タスクの抜け漏れを防止するのに役立っています。
今では190を超えるアプリが作成されているほど、カスタムアプリ、そしてサイボウズ Officeがあらゆる業務に活用されている状況です。
事業承継しても負担のない仕組みを
サイボウズ Officeで目指す
和菓子の製造販売を行っている有限会社竹隆庵岡埜では、先代が台東区根岸で事業を始めてから創業60年あまり、家族6人とアルバイト60名ほどで、11の店舗と都内近郊の百貨店、そして企業での販売会などを行っています。
この販売会は半年ほど前から予定が組まれますが、開催までにはスケジュール変更も頻繁に発生します。「販売会に出向くスタッフの予定を把握しておかないと、日程変更の要請に素早く回答できない状況でした」と同社の吉原 一行様は当時の課題を説明します。
そこで、スケジュール調整のためにサイボウズ Officeを導入したのです。
スケジュールやアドレス帳など、基本機能をしっかり活用
基本的には家族6名のうち4名でサイボウズ Officeを利用しています。スタッフのスケジュールを共有したり、取引先や外部販売会における事業所の担当者の情報をアドレス帳で管理したりする使い方です。
販売会に関しては、いつどんな商品を販売したのかを訪問先企業にも報告することが求められるため、販売状況が把握できるようファイル管理にて売上データの共有を行っています。
これらの機能はうまく活用できているものの、課題も顕在化しています。まず、接客が基本の商売であるため、落ち着いてサイボウズ Officeにアクセスする時間が取りにくいこと。また、データとして入力する用語がバラバラで、共有されているのに検索しにくいこと――。
使い方にはスタッフ間でムラがあるため、全員に上手く使ってもらえるようにしていくのは永遠の課題だと語ります。
情報共有で長続きする組織を目指す
カスタムアプリでは、サンプルアプリの「日報」をカスタマイズして、ToDoリストとしての利用を試行中。やることを整理できるようになっただけでなく、やったこと、やり残したことがきちんと把握できるようになり、「いつ何をしたか」が振り返りやすくなったと評価しています。
これは、会計事務所から請求書発行などがいつ行われたのかを尋ねられた際などにも役立っているとのことです。
使い方はシンプルですが、サイボウズ Officeを導入したことで、自分しか分からなかったことをスタッフ全員が把握できるようになり、属人化した業務が低減。休暇も取りやすい環境を生み出すことができたと吉原様。
「頑張り過ぎると長続きする組織にはなりません。あと2年ほどすると3代目が修行から戻ってくるため、その時までにいろいろ工夫して、3代目が楽になるような仕組みをサイボウズ Officeも活用しつつ作り上げておきたい」と力説しました。
「ペーパーレス」や「直行直帰での情報共有」を推進するコツを中心に、サイボウズ Officeの様々な活用事例が共有される会となりました。