ユーザー会レポートサイボウズ Office活用勉強会
〜サイボウズ Officeで目指すペーパーレス〜
発表編
「紙の業務、どう効率化していますか? 〜サイボウズ Officeで目指すペーパーレス〜」をテーマに活用勉強会を開催しました。今回の記事では、その様子をご紹介します。
INDEX
今回の参加者
会社名 | 業種 | 導入時期 | ユーザー数 | ご利用コース |
---|---|---|---|---|
株式会社ベストーネ | 食品製造業 | 2017年 | 127名 | クラウド版 プレミアム |
浜崎海運株式会社 | 運輸業 | 2019年 | 16名 | クラウド版 スタンダード |
野原興産株式会社 | サービス業 | 2017年 | 16名 | クラウド版 プレミアム |
社会福祉法人みやび | 福祉・保育園 | 2017年 | 29名 | クラウド版 スタンダード |
活用事例発表
1「稟議書」をペーパーレス化し、申請業務の効率化を実現
株式会社ベストーネ
氏原 友紀様
株式会社ベストーネは滋賀県の食品加工製造会社です。24時間365日稼働しており、シフト勤務で同じ部署の人が揃わないため、情報共有を目的にサイボウズ Officeを導入しました。現在は3拠点127名で利用しています。
同社での稟議申請は、これまで稟議書をExcelで作成し、印刷・回覧するフローでした。しかし承認者が2つ以上の拠点に渡る稟議もあり、稟議書の紛失や確認の停滞が起こっていました。
また、会社で定めた運用方法が守られていないという問題もありました。
上記の課題を解決するために、氏原氏は稟議申請を行うためのカスタムアプリを作成、さらに紙の稟議書からカスタムアプリに移行させるために6つの工夫をしました。
工夫①手作りマニュアルの配布
氏原氏は、「文字だけのマニュアルは読んでもらえない」と考え、画面のキャプチャーを多用し、見るだけで操作を覚えられるマニュアルを作成しました。また、申請者用と承認者用に内容を分けて作り、立場ごとに異なる操作方法をかんたんに理解できるようにしました。
工夫②入力欄に解説を入れて記入を統一
項目の「コメント(説明文)」を使って、入力を間違いやすい項目の直下に記入例や入力ルールを記載することで、誰でも正しく入力できるようにしました。
工夫③合議先を正しく選択するための設定と運用ルール
同社では稟議が複数の部署に渡る内容の場合、他の部署の担当者に承認を得るための合議を行う必要があります。合議先は稟議の内容によって異なるため、合議先に指定されたユーザーは、次の合議先を正しく選択する必要があります。
そこで氏原氏は合議先を迷わず選択できるように、アプリ内に合議先を選択するためのチェック欄を設け、「チェックがついている順番に申請を承認する」という運用ルールを設けました。
実際の操作手順で見てみましょう。
- 申請者
申請者は、稟議を確認する必要がある合議先にチェックを入れる(赤枠内)
- 合議先に指定されたユーザー
申請内容に問題がなければ、申請者がチェックを入れた赤枠内を確認し自分の下にチェックがついているユーザーを承認者に割り当てる。(青枠内)
(自分が指定された合議先のうち一番下にチェックが入っているユーザーの場合は、「財務部長承認」を割り当てる)
工夫④コメント欄の利用で差し戻しが激減
紙の稟議書の時代は、承認の途中で申請書の不備に気付いても、途中で差し戻しせず、最終確認者に届いてから、申請者へ差し戻されていました。
そこでカスタムアプリでは、進行中の稟議内容に指摘や確認がある場合にはアプリの「コメント欄」を利用して追加の説明や資料を提出できるようにしました。
これにより、稟議の進行中でも意見交換できるようになり、差し戻しは激減しました。
工夫⑤誤操作による変更・削除の防止
監査の観点から、決裁後の申請データは編集や削除ができないようにしなければなりません。
そのためには、カスタムアプリの編集権限を財務部など一部の限られたユーザーにのみ設定する必要がありましたが、稟議を承認するためには承認者にも編集権限が必要でした。
そこで氏原氏は、カスタムアプリの「データコピー」機能を利用し、決裁済みの稟議を「稟議書庫」という別のアプリにコピーして保管する運用にしました。この「稟議書庫」アプリは、過去の申請情報を閲覧する際にも役立っています。
工夫⑥意識づけのための機能制限
アプリ運用開始後に起こった問題を解決するための工夫もありました。
導入直後はマニュアルを読まずに利用する人が多く、誤操作が続出したのです。そこで、あえてデータを再利用できないように設定しました。そうすることで、従業員に「再申請には余計な手間が発生するため、一つ一つの申請を正確にしよう」という意識づけをしました。 これにより、正しい申請方法が自然と定着していきました。
このような6つの工夫によって、同社では稟議の申請を紙からカスタムアプリへと置き換えることに成功しました。今では、全ての稟議の進捗状況が見える化し、申請を滞りなく進められるようになっています。また運用を一から見直したことで、申請ルールも守られるようになっていきました。
氏原氏は「このカスタムアプリをきっかけに、他の業務もどんどんペーパーレス化していきたい」と語り、発表を終えました。
2電子決済に必要な情報連携をカスタムアプリで実現
野原興産株式会社
野原 和憲様
野原興産株式会社は兵庫県川西市で複合レジャー施設を運営する会社です。
今回は、普及が進んでいる電子決済によって発生した業務課題をカスタムアプリで解決した事例が紹介されました。
同社ではこれまで現金決済や紙のクーポンでの精算処理が主流でしたが、国の政策や、感染症対策の観点から、電子決済を新たに取り入れました。
支払い時にクーポンが使用されると、その分の料金が後日、行政などから振り込まれます。そのためフロントでの売掛処理と、経理による売掛金と振込額の突き合わせが必要になります。
しかし電子決済では紙クーポンのように現物が存在しないため、フロントでの精算内容が管理責任者や経理で確認しづらくなっていました。
そこで野原氏はカスタムアプリを活用し、フロントと経理で電子決済の突き合わせを行いやすくする仕組みを構築しました。
たとえば570円の生姜焼き定食を、お客様が電子クーポン(500円分)を利用して注文されたケースの手順は次の通りです。1〜3の情報が合致すれば1つの決済処理が完了します。
- フロントがカスタムアプリにお客様のお名前・電話番号・単価500円のクーポンを受け取ったこと・残金70円は現金で受け取ったことを記録
- 行政からの実績報告書がPDFで届く。管理責任者は該当レコードに同PDFを添付
- 経理はPDF・レコードの情報・銀行振込の記帳を突き合わせ
このアプリの活用によって、売上報告書や銀行から届く口座情報などの印刷費用68,090円を削減できました。
しかし、このカスタムアプリの最も大きな効果は、電子クーポンでもかんたんに正しい情報を共有し、経理とフロント間での連携がスムーズにできたことだと野原氏は語ります。
「中小企業では、電子決済の一連の処理を行うための仕組みを構築できず、電子決済の導入を諦める経営者もいます。しかし、カスタムアプリを使えば情報連携の仕組みをかんたんに構築できるので、中小企業でも電子決済を積極的に導入できるようになるはずです。」と野原氏は発表を締めくくりました。
3大型船5隻に送付していた業務連絡資料をペーパーレス化
浜崎海運株式会社
浜崎 貴司様
浜崎海運株式会社はオイルタンカーを主軸とした海上輸送サービスを提供する会社です。
事務所のリニューアルやペーパーレス化のために業務ツールのクラウド化に積極的に取り組んでおり、サイボウズ Officeとサイボウズのクラウドサービスであるkintoneを併用しています。
同社ではサイボウズ Officeを、主にスケジュール共有や掲示板での全社連絡・社内の意見交換のために利用しています。
個々のユーザーが積極的に意見や質問を発信することが推奨されているので、サイボウズ Officeのアンケート機能が利用されることもあります。
そして、kintoneではスペース(チーム単位でのコミュニケーションができる機能)やアプリ機能(業務に合わせたシステムを作成できる機能)を利用して、外洋をゆく大型オイルタンカー5隻とのやりとりをしています。
その中でも、浜崎氏が今回紹介したのは、オイルタンカーと事務所間の業務連絡に使われていた書類をペーパーレス化した取り組みでした。
同社では、以前まで1隻につき約50ページある業務連絡書を5隻分(約250枚)作成・印刷し、各船が停泊する港で受け渡しをしていました。
そこで、業務連絡をまとめるためのアプリをkintoneで作成。印刷やFAXの手間を省きながら、毎回250枚の紙の削減に成功しました。
その他にも、各船の出納情報を管理するアプリを作成。それまで月末報告でしかわからなかった遠隔地にいる船のお金の精算書が、リアルタイムで把握できるようになりました。
浜崎氏は、「今後、さらにサイボウズ Officeとkintoneのより効果的な併用方法を模索し、活用を高めていきたい」と発表の最後を締めくくりました。
4販売業者にアカウントを付与し、物品購入業務をペーパーレス化
社会福祉法人みやび
中畑 剛史様
社会福祉法人みやびは大阪と奈良で14の保育園を運営しています。
今回は理事長である中畑氏から物品購入業務をペーパーレス化した取り組みが発表されました。
保育園業界では、園児用の連絡帳や体操服などの物品を販売業者から購入する場合、FAXでの発注が一般的です。
しかし同法人では、販売業者にサイボウズ Officeのアカウントを付与し、ワークフローの確認経路に設定しています。そうすることで、ワークフローで決裁をすると、そのまま物品を発注できる仕組みになっています。
発注先にアカウントを付与する際は、他の情報を閲覧できないように、ワークフローとメッセージの2つの機能だけを利用できるように制限しています。
発注の際は、施設と必要な物品を入力します。物品の項目は、まとめて発注できるように品名・サイズ・発注点数などの細かく設定されているため、項目に沿って入力していくだけで発注書が完成します。
またそれ以外にも園児単位で発注を行う申請フォームや、発注内容を自由に記述できるフォームも用意しているため、あらゆる発注に対応できます。
そして、これらのフォームの申請経路の確認者として販売業者が設定されているので、ワークフローが決裁されると同時に発注業務が完了します。
さらに発注後の確認のやりとりも、電話ではなくサイボウズ Officeのメッセージを利用しています。このようにサイボウズ Office内に発注業務をまとめることで、納品が早くなり、電話対応も不要になりました。
サイボウズ Officeでのやりとりは、販売業者にも喜ばれていると言います。
電話やFAXで発注をすると「FAXを受け取った・受け取っていない」の問題が起こる可能性がありますが、ワークフローには発注データが残っているので、そういった行き違いの心配がないからです。
また同法人では、あまり発注頻度が高くない販売業者にはサイボウズ Officeのアカウントを付与していません。その代わり同じようにワークフローで決裁した後に、そのデータをPDFとして出力し、オンラインFAXで送っています。
このような取り組みにより、同法人には紙を使った発注業務が一切なくなりました。
最後に中畑氏は「保育の現場はとにかく忙しいので、電話でやり取りをする時間や手間を考えると、アカウントの販売業者に付与するコストや、オンラインFAXを導入するコストをかけても、充分に元が取れていると思います。」と発表を締めくくりました。
まとめ
今回の活用勉強会では、様々なペーパーレスの工夫が紹介されました。ご参加いただいたどのユーザー様も、サイボウズ Officeを活用して社内外の様々なやりとりをペーパーレス化し、業務を効率化していました。
また、発表後はサイボウズ Officeを利用する際のお悩みについて参加者で話し合う「座談会」を行いました。「座談会」の様子は、下記からご覧いただけます。
「紙をやめて、業務を効率化したい」という方、ぜひ今回の発表を参考にして自社のペーパーレス化を進めてみてください。