イベントレポートサイボウズ Office 見学ツアー
誰でも使える工夫で
介護に専念できる環境を実現
- シャローム株式会社 -
2017年11月17日に、「サイボウズ Office 見学ツアー」が大阪で初めて開催された。会場は、大阪府堺市を中心に介護保険関連事業を営むシャローム株式会社の一条通支所。
参加者はサイボウズ Officeを利用中の方と利用を検討中の方、合わせて6名だ。
シャローム株式会社からは総務チーフ 加藤徹氏に登壇いただき、介護の現場におけるサイボウズ Officeの活用方法と、「介護士にとって使いやすい業務システム」にするための工夫についてお話しいただいた。
サイボウズ Office 見学ツアーとは?
サイボウズ Officeを導入している企業を訪問して、グループウェアの活用について学ぶツアーです。
INDEX
サイボウズ Officeは介護事業にフィットしたグループウェア
―シャローム株式会社のこと―
はじめに、シャローム株式会社の事業内容やサイボウズ Officeの利用目的について聞いた。
1介護保険事業全般を手がける会社
シャローム株式会社は、大阪府堺市を中心に13箇所の介護事業所を運営している。屋号は「やすらぎの介護シャローム」。訪問介護・訪問看護・訪問看護リハビリ・デイサービス・ケアプラン・有料老人ホーム・グループホーム・福祉用具・介護タクシーなど、介護保険事業全般を手がけている。
2017年現在、同社では登録ヘルパーを含め約600名が働いており、そのうち300名がサイボウズ Officeユーザーだ。利用者は会社幹部から現場のヘルパーさんまで幅広い。上層部になるほどサイボウズ Officeの利用頻度は高く、現場のパートスタッフは一部がアカウントを持っている。
2光る「歩くデイサービス」
同社の介護施設は特徴的だ。加藤氏は、人は麻痺を患ったり寝たきりになると「歩く」ことを渇望するようになると話す。
ある利用者さまが「歩くことを夢にまで見る。歩かせてくれないから歩けないんだ」とこぼしたことがあったそうだ。この言葉がきっかけとなり、「高齢者に歩く機会を与えない状況」を取りさった「自力歩行を目指せるステーション」をオープンした。
事業者としてはリスクの高い運営方針だが、例えば、自分でトイレに行けたときの高齢者の喜びは大きく、人気の施設となっている。
3「介護に専念できる環境」にこだわる
同社の設立は1999年。社長の自宅を介護施設に改装し、一家で介護サービスを始めたという創業のエピソードは、2003年放送の「介護家族~花咲きまっか~」としてドラマ化された。
ドラマの冒頭で描かれた「現社長の俣木泰三氏が家族に内緒で会社を退職。ケアマネージャー試験を受けていた」というシーンは実話だという。そんな「介護をしよう!」という思いで設立された会社なので、可能な限り「事務作業や情報共有の難しさ」を解消し、ケアに注力したいと考えている。
そのためにサイボウズOfficeは欠かせないという。
セミナーの冒頭で加藤氏は、「サイボウズの最も良いところは一般の方でも『何となくなくの感覚』で使え、ITに強い人は『使いこなして仕事を深掘り』できる点です。これを実現できるのがサイボウズ Officeだと思って社内で活用しています。」と語る。
サイボウズ Officeは介護事業にフィットしたグループウェアであり業務システムというわけだ。
アプリの「使いやすさ追求」で、複雑な介護の現場が明快に!
―サイボウズ Office活用方法―
続いて、具体的なサイボウズ Officeの活用方法についてお聞きした。
1サイボウズ Officeの全機能をフル活用
同社では、サイボウズ Officeの多くの機能を使いこなしている。
また、自社の業務に合わせて自由に構築できる「カスタムアプリ」の活用度も高く、「介護施設の利用者さまの情報」「ヒヤリハット情報」「求人受付」など数十個のアプリが稼働中だ。
同社ではターミナルサーバーをたて、VPNで各拠点にネットワークを張り巡らせている。これによりどの拠点からもサイボウズ Officeを快適に利用できる。
また外部接続サービスである、サイボウズ リモートサービスを併用し、営業職や役員が外出先からでもiPhoneやiPadを使ってサイボウズ Officeにアクセスできるようにしている。
2サイボウズ Officeを介護の現場に入れるコツ
同社では「トップページ」を全社共通のリンク集と位置づけている。具体的には、「トップページ」には、頻繁に使う業務システムへのリンク・介護マニュアルへのリンク・自治体の福祉情報へのリンクなどが集約されており、業務に欠かせない情報へのリンク集になっている。
このため、現場スタッフは迷うことなく必要な情報を収集したり、目的の業務システムにアクセスできる。「誰も迷わない」、そんなトップページの追求こそ、介護の現場でサイボウズ Officeの活用が進んでいる最大の要因である。
3新人が迷わない「魔法の掲示板」
特筆すべきは「社内問合せ窓口」という名の掲示板だ。サイボウズ Officeのカスタムアプリで構築された「社員の携帯電話一覧へのリンク」や「印刷物発注アプリへのリンク」などがまとまっており、業務で必要な手続きを一瞬で見つけられる。
この「掲示板」のおかげで、サイボウズ Officeの仕組みを理解していない新人スタッフであっても最初の段階でつまずきにくい。「掲示板」の工夫こそサイボウズ Officeが「誰でも使えるツール」となっている鍵であり、業務をスムーズにしている潤滑油なのだ。
4重要指標をトップページに「表」で置き意識向上
サイボウズ Officeは、カスタムアプリの中身をそのまま「トップページ」に貼ることができる。この機能を利用して重要な経営指標である老人ホームの空室状況などをスプレットシート形式で「トップページ」に表示させている。
サイボウズ Officeを開くだけで重要指標を自然と意識できる効果はとても大きい。
5「入職手続き」アプリで採用効率アップ
同社では毎月10名以上を採用している。応募数は50~70件/月にのぼり、その一人ひとりに連絡をとる作業は大変だ。これを効率よく進めるためのカスタムアプリで「入職手続き」アプリを作成。オフィス見学ツアーの時点で約3,000名の応募者をこのアプリでさばいていた。
「入職手続き」アプリの詳細はこうだ。応募者の受付業務では、応募者の住所・電話番号などの必須情報をアプリに設けられたヒヤリング項目に入力する。このとき、応募者が母子家庭や60歳以上であれば助成金を受けることができるため、助成金に関わる情報を入力するチェックボックスをONにする。
ここからがこのアプリの優れた点だ。受付業務の[完了]ボタンが押されると面接担当者に通知が自動で飛ぶのである。応募後すぐに面接日を決めるスピードが採用では重要だ。受け付けてから面接のセッティングまで2~3日も間があくと他社に決まってしまうためだ。面接官は通知を受け取るとすぐに応募者にアプローチする。
採用が決まると、カスタムアプリのステータスを「採用手続き」に変更する。この段階で、介護ソフトのアカウントが必要と登録されたワーカーなら介護ソフトの担当者に自動でアカウント発行依頼のメールが送信される。入職にともない準備が必要な箇所全てに通知が飛ぶ仕組みである。
この「入職手続き」アプリ1つで全ての採用フローをミスなく素早く遂行できるようになっている。驚くことに、応募者登録で入力されたデータをクロス集計機能を利用して、求人媒体別に応募者数まで集計しているという。
6「廃棄物情報共有」アプリで事務の手間削減
事業所では色々な粗大ゴミがでる。ごみ処理業者に処理費用の見積を依頼するとき、13の事業所からゴミ情報を集める作業は大変だ。
同社ではこれを「カスタムアプリ」で効率化している。やり方は簡単。「廃棄物情報共有」アプリに各事業所が捨てたいゴミを入力するだけだ。常に最新情報を閲覧できるExcelのような使い方である。
これにより全事業所のゴミの量が1画面で把握できるため、「廃棄物情報共有」アプリの画面を処理会社にFAXするだけで見積もり依頼が完了する。
7メール通知機能でやりとりを簡略化
社員の個人携帯から仕事用の通話をする際に、通話料金を自動的に会社請求にできる公私分計のサービスがある。
同社では、携帯電話の利用頻度が少ない一部の社員がこのサービスを利用しているのだが、申込みには社員の住所や電話番号などを聞き、業者とメールの送受信を何度か行う必要があり少々手間である。この一連の登録業務を「カスタムアプリ」で簡略化した。
具体的には、「カスタムアプリ」のステータスを依頼に変更するだけで外部の業者に依頼メールが自動で送信される。これは、サイボウズ Office利用ユーザー向けに用意されている、メール通知機能を応用している。この「カスタムアプリ」のメール通知専用のアカウントを作成して、社外に自動でメールが配信される仕組みになっている。設定完了のメールが届くと、ステータスを「完了」に変更。直後に社員に対して、サービスの登録が完了した旨のメールが自動で配信されるようになっている。
8掲示板とカスタムアプリで介護に専念できる環境に
老人ホームや介護施設で必ず課題になるのが、利用者さまの情報共有と申送りだ。例えば、入居者60名の情報を、スタッフ30名が把握する、これには非常に労力がかかる。
同社でも以前はこの業務を紙の資料で行っており困難を極めていた。様々な福祉ソフトを試したが、どれも帯に短したすきに長し。そこでサイボウズ Officeを用いて自分たちの手で介護の現場にフィットした「カスタムアプリ」を作り上げた。
同社の介護現場で最もサイボウズ Officeの活用が進んでいるのが有料老人ホーム「晴れる家4号館」である。同館で利用しているカスタムアプリは目的ごとに「入居状況」「ケア詳細アプリ(ケア&看護の申送り)」「ケアチェック(血圧や食事摂取量などの数値記録)」「ひやりはっと」「事故報告」などがあり、現場の状況を詳細に記録できるようになっている。
しかし、ヘルパーにとっては、ケアの直前に複数のアプリを素早く閲覧するのは困難だ。これを解決したのがサイボウズ Officeのカスタムアプリ内の情報をそのまま貼り付ける機能を使った「利用者◯◯さまの掲示板」である。この掲示板では複数のアプリに分散した「訪問介護」「ケアチェック」「申送り」「ひやりはっと」「事故報告」などの「ある利用者さまの情報」を一画面でチェックできる。
「晴れる家4号館」のスタッフは全員、サイボウズ Officeのアカウントを持っており、主に「利用者さまの掲示板」を利用している。動き回る仕事のためiPadで閲覧・入力を行う。出勤すると「その日担当する利用者さまの掲示板」を閲覧し、申送りや状態をチェックしてからケアに向かう。このおかげでスタッフ全員で正確な情報共有ができるようになっただけでなく、新人スタッフも初めて対面する利用者さまの状況を正確に把握できるようになった。
入力も簡単だ。「利用者◯◯さまの掲示板」の上部に大文字で設けられた[ケアチェック]などのアプリへのリンクボタンを押すと「◯◯さま専用の入力画面」に飛ぶ。ここではラジオボタンやプルダウンメニューを選ぶだけでほとんどの状況を報告できる。
「スタッフの仕事はアプリを入力することではなく、利用者さまの状況報告です。」加藤氏は「報告を完了するまでの障害」をできるだけ無くすことにトコトンこだわっていた。
パソコンが苦手なスタッフでもサイボウズ Officeを使える理由
- 質疑応答コーナー -
見学ツアー中には、参加者からの質問にも回答いただいた。
パソコンが苦手なスタッフが、サイボウズ Officeを使いこなすコツは?
まずは新人研修でサイボウズ Officeの研修を行います。最初のハードルはログインです。
当社の場合、ログインするにはIDを入れる必要はありません。自分の名前をクリックして初期パスワードを入れるだけで良いようにしています。ここでのポイントは初期パスワードを分かりやすいものにしておくことです。
また、とてもITが苦手な方であっても「利用者さまの掲示板」だけは使ってもらうように指導します。このときのポイントは、文字入力なしでも扱えるようにサイボウズ Officeを設定しておくことです。
例えば介護スタッフに利用者さまの名前を打ち込んでもらうと、漢字・ひらがな・スペースなどが入り混じるため、統一性のない情報になってしまいデータの集計に支障が出ます。
そこで、あらかじめ会社が利用者さまの名前を登録し、「名前」の入力欄には「名前データの再利用」を意味するタグを仕込みました。これでスタッフは名前を選ぶだけで入力ができます。
このひと工夫で統一された情報が収集可能になり、生きた情報として活用できています。
介護施設での入力端末の設置状況を教えてください。
サイボウズ Officeで利用者さまの情報共有を行っている「晴れる家4号館」は詰め所にパソコンがそれぞれ1台とタブレットを4台を備えています。
これらをスタッフ30人で共用しています。同施設のスタッフは1人1アカウント持っているのでスマートフォンからもサイボウズ Officeを利用できます。
介護事業を営んでいます。スタッフにサイボウズ Officeでどこまでの情報を共有すべきでしょうか?
サイボウズ Officeはアクセス権を設定できます。例えばクリスマスパーティーの情報は全員に伝えますが、視察報告などは特定の役職だけに届けます。自社では情報の内容に応じて閲覧できる人を設定しています。
今日の見学ツアーはいかがでしたか?
―参加者からの感想―
見学ツアー後は、同社の活用について多く感想が集まりました。
サイボウズ Officeを約10人で利用しています。「カスタムアプリ」の活用方法が参考になりました。
約60名のスタッフでサイボウズ Officeを利用しており、外出の多い職種の在籍確認を行っています。今後さらに活用をすすめ業務効率化を図るためのノウハウを得られました。
サイボウズLiveからの乗り換えを考えています。介護の現場でのサイボウズ Officeの使い方を知ることができて良かったです。
シャローム株式会社さま、そしてご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。