イベントレポートサイボウズ Office 見学ツアー
サイボウズは事業の成長に欠かせない
全員経営を実践するための活用方法とは
- 株式会社スワロースポーツ -
2017年2月24日に株式会社スワロースポーツさんのオフィスで第1回「サイボウズ Office 見学ツアー」が開催された。
今回の参加者は、サイボウズ Officeを利用中の方と利用を検討中の方、合わせて6名。スワロースポーツからは、矢野社長はじめの大畑氏、近藤氏、鈴木氏に参加いただき、質疑応答も交えながら経営のことやサイボウズ Officeの活用方法についてお話しいただいた。
サイボウズ Office 見学ツアーとは?
サイボウズ Officeを導入している企業を訪問して、グループウェアの活用について学ぶツアーです。
INDEX
情報共有による全体最適が経営の鍵
―スワロースポーツのこと―
はじめに、スワロースポーツの事業内容や経営方針について聞いた。
1創業21年。社員32人で野球用品専門の人気オンラインショップを運営
スワロースポーツは、野球用品を専門に扱うECサイトを運営している。草野球チームのユニフォームを中心とした野球用品のオーダーメイドサービスを初めて考案するなど、積極的に新しい取り組みにチャレンジし、野球ファンに人気のショップだ。矢野氏が1996年に設立して以来、成長は右肩上がり。2016年の売り上げは11.5億円になった。現在、社員は32人で、販売チーム、Webチームに分かれて豊島園駅からすぐのオフィスで仕事をしている。
2全体最適化のためには情報共有が必須
スワロースポーツでは、経営理念、それを実現するための行動方針に加え、チームワークを大切にしている。
「チームワークと言うのは、『全体最適化』だと考えています。どんな会社でも部署ごと、個人ごとにそれぞれが一生懸命頑張るものです。しかしながら、全体最適ができていないと各々が一生懸命頑張る程に、赤字になって倒産してしまう、という事例もあります。それを防ぐために、社員全員が経営者としての視点を身につけられるよう、教育に力を入れ、さらに社員間の情報共有を重視しているんです。日々の仕事のなかで何か違和感に気づいたら、些細なことでも報告させるようにしています。そのためのツールとして、2009年にサイボウズ Officeを導入しました。」
「こんなに褒めると今日はサイボウズさんもいらしているので調子に乗るかもしれませんが(笑)、正直なところ、当社の場合サイボウズ Officeが業務のインフラになっています。サイボウズ Officeがなければこれまでの会社の成長もなかったと思うし、これからもなければ業務に支障をきたします。だからサイボウズ Officeには本当に感謝しています。」(矢野氏)
3情報があれば、経営は有利になる
具体的な情報共有の手段として、グループウェア上に「気づき」という掲示板を作って、各々が気になったことを投稿している。
「ほんの小さな情報であっても、それが、勝負に勝つきっかけになることが多々あります。例えば、カードゲームのトランプで相手の手札がチラリとでも見えると、圧倒的に有利になりますよね。経営においても同じです。『情報がある』ということは、それだけで有利になるということなんです。サイボウズ Officeがいいのは、経営を有利にするための情報共有力をものすごく底上げできるというところです。」(矢野氏)
「気づき」掲示板の他にも、業務報告はグループウェア上で行い、成功事例を社内で共有している。
「できる人は無意識にやっていることでも、他の人にとっては実は知らないことだったということも多いんです。日々、『報告書』をチェックしていく中でそんな事例を見つけると、『これは他の人にも教えてあげて』とお願いしています。サイボウズ Officeを活用することによって、成功事例を社内で共有しやすくなりました。」(矢野氏)
4常に現状を把握して、対策を考える
また、日々の経営状況を把握するためにもグループウェアは有用だという。あるとき矢野氏がサイボウズ Officeの報告を確認していると、いつも出荷量の安定しているある商品の売上が下がっていることに気が付いた。違和感を感じて原因を探ったところ、ライバル企業に売上を取られていることが発覚した。そこでよくよく確認すると、他の商品にも少しずつ影響が及んでいたのだという。
「経営には常に現状を把握して、異常値が出たらすぐに対策を打つことが大切です。JALを再生した実業家の稲盛和夫さんの『墜落後にフライトレコーダーを見るのではなく、今の気流を見なくてはならない。』という言葉が有名ですが、まさにそのとおり。月次決算が出てから動くのでは遅いんですよね。スワロースポーツでは、モールごと、メーカーごと、カテゴリごとの三軸で日々の異常値をチェックしていて、そのためのデータはサイボウズ上に集まっています。」(矢野氏)
徹底した業務効率化を実現する
グループウェア活用法
―サイボウズ Office 活用方法―
続いて、具体的なサイボウズ Officeの活用方法についてお聞きした。
1スケジュール×アドレス帳×報告書を連携して活用
スワロースポーツでは、会議や外出の予定は「スケジュール」に登録するルールになっている。予定メニューには、要件を一文字で伝えられる漢字を設定して、わかりやすいスケジュール画面になっている。
「アドレス帳」も積極的に使われている。取引先の会社と所属する人を登録して、全社で共有している。特に、仕入先となるメーカーの担当者は入れ替わりが頻繁にあるので、「アドレス帳」に集約された最新情報を全社で共有することで効率的に仕事ができているという。また、「アドレス帳」には標準の項目に加えて必要な項目を追加ができる「カスタマイズ可能な項目」があり、これも活用されている。
「例えば、こちらも仕入先のメーカーなら、返品などの『取引条件』や契約書をPDF化したものを添付する項目を追加しています。確認する機会が意外と多いので、電子化された契約書が取引先企業ごとに検索しやすくなっているのが便利です。使っていくうちにもっと情報が欲しい、と欲が出て、ここまで項目が増えました。」(矢野氏)
さらに、「報告書」の機能を使って商談の記録を残している。
「便利なのは、『スケジュール』も『報告書』の履歴も『アドレス帳』に紐付けて見ることができる点です。メーカーごとの商談記録も後から簡単に振り返って確認することができます。」(矢野氏)
2ちょっとした業務にも、カスタムアプリを活用し効率化
「Excelの代わりや簡単なアンケートを取るときなど、効率化のためにちょっとしたことにも『カスタムアプリ』を使って欲しいとお願いしているんです。紙なんかで回してたらいつ戻ってくるかわからないですから。」と話す矢野氏。同社では多くの「カスタムアプリ」を運用されているが、今回の見学ツアーでは、中でも利用頻度の高いアプリについて解説していただいた。
モール別作業報告書
スワロースポーツでは、自社サイトだけではなく、楽天市場やYahoo!ショッピング、Amazon、Wowma!などのモールにも店舗を持っているが、このカスタムアプリを使って月次で各モールの担当者が報告を出している。
ポイントはアプリの使い方を紹介されているメモ欄。別のマニュアルを用意するのではなく、同じ場所に使い方の案内があることで利用者にとってわかりやすい画面を目指しているそうだ。
「一覧ビューでは、重要な情報ほど左側に表示されるように工夫しています。弊社では、売上より粗利額(MQ)を重視していますので、粗利額(MQ)が左側に表示されています。また、条件書式を使って、未達のときは目立つように赤字で表示しています。担当者に数字の意識を持ってもらいたいというのがその理由です。」(大畑氏)
出勤簿
「出勤簿」は、毎日の出勤時と退勤時に打刻するアプリ。年/月/日をそれぞれ項目を分けて登録している。項目が分かれていると登録は少し手間になるが、CSVに出力して集計を行ったときに扱いやすくなるという。また、カレンダー表示がポイントで未打刻があればひと目でわかる。
Web依頼書
「Web依頼書」は、他部署への依頼を管理するアプリのうちの一つ。
「社員数が十数人を超えたころでしょうか。人数が増えてから、他部署へ業務の依頼をする際に、ざっくりした依頼では齟齬が起きやすくなってきました。そこで、部署間でよく発生する依頼は提携のフォーマットに登録するようにしています。」(大畑氏)
依頼アプリでは、「ステータス管理」の機能がよく使われている。以前は、その都度コメント欄などで状況を確認していたが、「ステータス管理」を使うことで状況を絞り込んで見える化することができた。また、締め切りが過ぎたものや締め切りが迫っている依頼は、条件書式で強調表示させている。
共有パスワード管理
組織で一つのアカウントでないといけない場合に、IDとパスワードを共有するために使っているアプリ。サービスごとに様々なID/パスワードがあり、このアプリで一元管理している。
トラブル&クレーム
矢野氏が「私が毎日朝から晩までチェックしているアプリ」と話すのが、「トラブル&クレーム管理」のアプリだ。クレームだけではなく、出荷経路が通常と異なるなどイレギュラーな対応を行ったものはすべてこちらに登録される。トラブルは対応途中に忘れたり、対応が遅れたりすると二次トラブル、三次トラブルに発展してしまうものだが、記録をカスタムアプリに残すことで担当が代わっても迅速な対応をすることができている。
「カスタムアプリを使うと、トラブルの分類ごとに発生件数や損失金額の集計を見ることができるメリットがあります。どのトラブルに手を付けるのが、生産性が高いかを考えるためにも有効です。」(矢野氏)
サイボウズ Office があるから
自分たちが強くなれる
- 質疑応答コーナー -
最後に、見学ツアー参加者からの質問にも、回答いただいた。
コストパフォーマンスについてはどうお考えですか?
当時はオンプレミスしかなかったので、ソフトウェアの購入費用の他にサーバーマシンの費用も必要で初期費用がかかりました。それで、導入時は「元が取れるんだろうか」とかなり考えました。使っていくうちにサイボウズ Officeがあるために、自分たちが強くなれるということに確信が持てました。それからはグループウェアにかかる費用が高い安いということは気にしなくなりました。利益のうちの、たった何十万円かといった感覚です。 コストパフォーマンスをどの範囲で考えるかにもよりますが、物理的なコスト、例えばグループウェア導入によって削減できた紙や印刷代、事務コストと考えるとコスト対効果はそれなりだと思います。
それよりも、情報共有の意識を底上げできたことによって得られたメリットが大きいと考えています。利益を出すために必要なことは、「新しい利益を生み出す」か「経費を削減する」かですよね。すでに導入しているサイボウズ Officeの活用を深めると、追加投資をせずにそのどちらも実現できる。
だからサイボウズ Officeはさらに活用していきたいと考えています。今はイニシャルコストのかからないクラウド版がありますし、導入しやすいですよね。一人月額800円というと、人件費に換算すると30分程度ですし。
サイボウズ Officeを導入するときのポイントを教えてください。
ポイントは、「欲張らないこと」だと思います。項目はできるだけ少なくして、まずは社内に入力する土壌を作ることを優先すべきです。運用が進んでから社員の提案を聞いて、必要な項目を徐々に増やすのが良いと思います。一方的にやれと言っても、やらない人はやらないんですよ。
ユーザー教育はどうやっていますか?
スワロースポーツでは、ITや野球の知識などのスキルでは採用しないように心がけています。パソコンができる人から応募があると即戦力になるかなと惹かれてしまいますが、後から知識はついてきます。それよりも、仕事に興味を持っている人に来てもらって、入社後に教育することにしています。
昔は入社後に手取り足取り全て教えていた時期もありますが、いきなり全部教わっても覚えられないのであきらめました。今はタイムカードの打刻や申請書など毎日使うものだけを教えて、あとは実践しながら教えています。これまで試行錯誤した結果、そのほうが覚えやすいということがわかりました。
「掲示板」と「メッセージ」はどのように使い分けていますか?
私たちも使い始めた頃は、何が違うのかよくわかりませんでした。今は次のように使い分けをしています。
メッセージ
必ず読んで欲しいものは「メッセージ」を利用します。内容によっては[確認しました]ボタンを使うこともあります。閲覧状況も確認することができます。
掲示板
強制ではない、できれば読んで欲しいものは「掲示板」を利用しています。
過去のデータはどのくらい前のものまで振り返りますか?
今のところ一応とってありますが、それほど前のデータは見ていません。例えば、売上などは振り返って見るのは集計したデータだけです。トラブルなどの顧客対応履歴は過去のものもさかのぼって確認しています。
今日の見学ツアーはいかがでしたか?
―参加者からの感想―
今回の見学ツアーでは、スワロースポーツの「アドレス帳」や「カスタムアプリ」の徹底的な使いこなし術が参考になった!という声が多数あった。
実際に業務で「カスタムアプリ」を活用している会社の率直なお話を聞けた。カスタムアプリ「売上管理」、「社内業務依頼」が参考になりました。
「カスタムアプリ」以外の標準の「アドレス帳」なども項目を追加できるので、もう少しチューニングして、さらに有効活用したいと思います。
見学先の企業様がとにかくオープンに情報開示してくださる姿勢に、驚きと感銘を受け、期待した以上の実用的な話をうかがうことができました。あっという間の密度の高い時間。また、一方的にならないよう配慮された流れで、参加してとても良かったです。
もともと備えられた「アドレス帳」や「ユーザー名簿」を最大限に生かすカスタマイズ法や、「カスタムアプリ」のメモ欄に読みやすい運用ルールやマニュアルを記載するところなど、早速真似したいと書き留めたメモが満載。今後もこのような機会をぜひ活用したいです。
株式会社スワロースポーツ様、そしてご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。