ハドルパートナー交流会レポートイチ押しの設定・カスタムアプリとは?
サイボウズの大阪オフィスで、2回目のハドルパートナー事例研究会を開催しました。今回は「『サイボウズ Office』のおすすめの設定、運用方法」・「イチ押しのカスタムアプリ」の2テーマで、参加いたただいたハドルパートナーの皆さまで研究を深めました。当日の様子をレポートします。
INDEX
今回の参加者
今回の交流会は、5社8名のハドルパートナーにご参加いただきました。
野原興産株式会
野原様
2018年10月代表取締役に就任。スポーツやカルチャーなど12施設の運営をする会社。各施設をまとめるために「サイボウズ Office」を活用している。「サイボウズLive」から「サイボウズ Office」に乗り換えて約1年が経過。
シャローム株式会社
加藤様
介護施設を運営する会社の総務部チーフ。労務・IT・建築などを手がけている。カスタムアプリの作成では「クリックをできるだけ減らす」など介護スタッフが「介護に専念できるツール」に仕上げることにこだわりを持つ。
シャローム株式会社
大窪様
2017年入社。総務部所属のIT担当でカスタムアプリ・ウェブサイトなどを担当している。初仕事は、IT出身ではないけれど、「サイボウズ Office」とExcel VBAを組み合わせた「超大作カスタムアプリ」だった。
株式会社ワークアカデミー
與田様
Web開発グループチーフ。「サイボウズ Office」歴15年で、好きな「サイボウズ Office」のデザインは「ライブステージ」。
株式会社ワークアカデミー
石徳様
学び開発グループ所属。教材作成をしている。通勤中やスキマ時間は貴重な仕事タイム。サイボウズのスマートフォンアプリで移動中にサクサクと仕事を進めている。
株式会社メカ
大城様
代表取締役社長。沖縄に在住しながら、千葉にある会社を経営しているため「サイボウズ Office」がとても役に立っている。マイブームは人の思考や行動特性を4パターンに分けるエマジェネティックス(EG)を活用したマネジメント。
株式会社メカ
原田様
営業部長。千葉県在住。沖縄在住の社長に代わり本社を守っている。自身も営業や研修で外出が多いが、「サイボウズ Office」があることで外出先でも仕事ができている。
医療法人豊資会
中島様
病院や介護施設を運営する400名規模の会社のシステム課長。「サイボウズ Office」歴17年。多趣味で写真やラグビーなどを楽しんでいる。ハドルパートナー事例研究会には福岡からテレビ会議で参加。
活用発表
1経営の「こうしたい!」がアプリで叶う
野原興産株式会社は、ゴルフレンジ・レストランなど12のレジャー施設を運営されています。「サイボウズ Office」歴は1年です。
年配社員に「なじんで」もらえた工夫
野原氏のサイボウズのおすすめの設定は、50〜60代の年配社員に「サイボウズ Office」に「なじんで」もらえた工夫2つです。同社は無料サービスの「サイボウズLive」から「サイボウズ Office」に乗り換えて約1年。旧ツールに慣れた50〜60代の社員に「サイボウズ Office」を抵抗なく使ってもらうことが乗り換え時の課題だったからです。1つ目の工夫は「アイコンを旧ツールと同じものに設定すること」です。「サイボウズ Office」に乗り換えた直後に「必要な機能が見つからない」と各所で混乱の声があがったため行った対策でした。慣れ親しんだ「サイボウズLive」に似たアイコンが新ツールでも「大体同じ位置」にあることで、年配の社員も無理なく「サイボウズ Office」を使えるようになりました。
2つ目のおすすめの設定は「トップ画面のアイコン」をクリックしたときの飛び先を、デフォルト設定からオリジナル設定に変更することです。
「サイボウズ Office」では「スケジュール」のアイコンは、初期設定では「グループ週」の画面に飛びます。しかし、「サイボウズLive」では類似のアイコンが「月間スケジュール」に飛んでいたため、年配社員から「月単位でカレンダーが表示できない」と意見が出ました。そこで「スケジュール&施設予約」をクリックすると「個人月」に飛ぶように全社的に変更しました。年配社員に新ツールになじんでもらえただけでなく、月間スケジュールを確認する機会の多い野原興産では、クリックが毎回1~2回軽減されて一石二鳥でした。
「費用申請アプリ」で権限委譲に成功
野原氏のイチ押しカスタムアプリは「費用申請アプリ」です。12施設の費用申請を処理できます。以前は社長である野原氏が「備品購入の申請書」を確認後、自身でネット発注を行っていました。しかし、不在時に処理が遅れる・備品の用途が不明な場合に問い合わせが必要などの問題があったのでアプリが作成されました。「費用申請アプリ」の承認は各施設の責任者が行います。「購入予定の商品と用途」を一覧表で確認できるので、各施設の責任者に承認作業を任せてはいるものの、野原氏も経費が適切に使われているかを確認できます。アプリのおかげで「キャッシュフローの明瞭化・同業務の権限委譲ができた・申請や承認の手間、承認までにかかる時間を大幅に削減できた」など大きな効果がありました。
野原興産株式会社の活用法はこちらでもご紹介しています
2「ケアに集中できる環境」をアプリで作る
シャローム株式会社は、住宅型有料老人ホームや訪問看護などを運営されています。
業務効率が上がるトップページの工夫
大窪氏のおすすめの設定は、トップ画面の上部に「頻繁に使うアプリやリンク、共有メモ」を集約するというもの。「必要なアプリにすぐに飛べるトップ画面が、個人はもちろん会社全体の業務効率を上げている」といいます。
また、大窪氏の個人設定は愛社精神に満ちています。カスタムデザインで画面最上部に社訓の「品格のある介護を提供」を表示させて常に意識しています。ファーストビューより下には大窪さんにとって「優先順位の高いアプリ」が画面の左上から順番に並べられており、上から順番にチェックするだけで、たくさんの通知の確認を効率よく済ませることができています。
「カスタムアプリ✕掲示板✕VBA」で実現した利用者様ポータル
大窪氏のイチ押しは、カスタムアプリと掲示板の機能を組み合わせて作った「利用者さまポータルサイト」です。介護スタッフはタブレットでアプリを開き、表示された「部屋割表」からケアをする方の名前をクリックします。これだけの操作で基本情報や申送り事項を確認でき、当日のケア内容もプルダウン形式でミスなく入力できます。
操作の簡単さとは反対に、アプリの裏側は複雑です。カスタムアプリなど複数の場所に分散している利用者さまの情報を、カスタムアプリのインライン表示や、レコードの再利用機能のリンクタグなどを用いて掲示板に集め、ポータルサイトのように一覧で表示させる仕組みになっています。このポータルサイトは利用者さま1人に1つ作られます。1人分の作成時間は手作業で30分です。
この「手作業によるポータルサイトづくり」をわずか「クリック1回」にしたのが大窪氏でした。Excel VBAでブラウザーを自動操作するプログラムを使って実現したのです。大窪氏はExcelをはじめ、データベース・プログラミングなどの経験はありませんでしたが、上司である加藤氏の指導とネット検索で得た知識を活用して完成させました。入社直後の大窪氏にこの偉業を成し遂げることができたのは、「介護スタッフが入力作業ではなく、利用者さまに寄り添う時間を増やせるように」との熱い想いがあったからです。カスタムアプリを集約した「利用者様のポータルサイト」の掲示板は、特定の施設だけでしか導入できていませんでしたが、手作業がなくなったおかげで、複数ある介護施設に新規導入するのが容易になっています。
シャローム株式会社の活用法はこちらでもご紹介しています
3 アプリで膨大な手間がゼロになる
株式会社ワークアカデミーは、大学生向けのキャリア教育や資格取得の支援をされています。
「表示設定の工夫」でメッセージ検索を効率化
與田氏のおすすめの個人設定、1つ目は「メッセージの表示設定」です。全ての情報を時系列で把握したいのであえてフォルダ分けをしていません。必要なメッセージを見つける方法は「ブラウザーでの検索」です。そのために「メッセージの表示設定」を工夫しています。具体的には、「検索結果100件を一気に表示させる」・「標題を30文字まで表示させる」の2つにより検索結果の一覧性を上げて、効率的なメッセージ検索を実現しています。
2つ目は「コメントのアンカー機能」の活用です。與田氏は、ある投稿に返信するときに「半角不等号『>』のあとに参照するコメント番号を付けて書き込む」という一手間をかけています。「サイボウズ Office」の機能で、半角不等号「>」のあとに参照するコメント番号を付けて書き込むと、該当するコメントへのリンクを作成できます。受け手は投稿番号をクリックすると投稿内容が表示されるので、どのコメントへの返信なのかすぐにわかります。「読む方が見やすい」ことを意識した親切な書き込み方法です。
同社石徳氏のおすすめの個人設定1つ目は、「通知の未読アイコン」をオリジナルで作成し、トップページの左上に表示させていることです。この設定で「未処理の仕事にアクセスする時間とクリックの手間」を省いています。
「サイボウズ Office」では新着情報を「トップページの最新情報のパーツ」からチェックすることが一般的です。しかし最新情報のパーツから一覧できるのは、各通知の標題と本文の始めの1行のみです。一方、未読画面にアクセスすると、最新情報と比べて一覧での情報量が多く、また画面遷移することなく本文を表示できます。たくさんの通知を一度に処理したい人におすすめの設定です。
「新年の抱負」を手間なく共有できる
與田氏のイチ押しカスタムアプリは「新年の抱負アプリ」です。入力項目は4つ(部署・氏名・抱負・写真)、全社員が抱負を書き込みます。カスタムアプリでは写真もインラインで表示されるので、ひとりひとりの抱負と写真をセットで読むことができます。とてもシンプルなアプリなので10分で完成しました。
もともと新年の抱負は、個々人が集計担当者にメール送信してから「年頭会議」で発表していました。写真は会議の場で撮影しました。不参加者の写真も収集した上で、約100人分の抱負をWordファイルにまとめていたそうです。この手間を減らすために同カスタムアプリが作られました。アプリ導入後は、各自が自分の抱負をアプリに登録するだけで、全社員に共有することができるようになり、取りまとめのための作業がゼロになりました。また、好きな写真を投稿できるようになったので、社員それぞれの個性が同僚に伝わりやすくなりました。加えて年中閲覧できるので、中途入社者が同僚のことを知るなど、他の用途でも役立っています。
株式会社ワークアカデミーの活用法はこちらでもご紹介しています
4「納品管理アプリ」で経営が見える化された
株式会社メカは、揚げ油の「ろ過機」メーカーです。
出荷日や納品日をカレンダーで常に意識する
原田氏のススメの設定は、カスタムアプリのカレンダーをトップページに表示させることです。同社はろ過器メーカーなので、製造や営業などいくつかの部門があります。同じ注文であっても部門により注視すべきポイントが異なります。そこで「納品管理アプリ」のカレンダーより、製造課長は出荷日を、営業課長は納品日をトップページに表示させています。この設定で「サイボウズ Office」にアクセスするたびに自分にとって重要なことを「無意識に意識」できるようになりました。
受注金額を予測できるアプリ
原田氏イチ押しカスタムアプリは「納品管理アプリ」です。営業が機械の受注情報(品番・金額など)を登録すると、同情報を設計開発・製造・メンテナンス・業務など関係者に共有できます。また、同アプリはカレンダーに「納品先の会社名」が表示されます。そのため会社名を入力する項目には「■」が自動挿入される設定にしています。これによりカレンダーでは箇条書き風に会社名が並びます。登録時は「■」マークだけですが、製品が完成すると製造課長が「■」の後ろに「完成」と入力します。このような入力ルールを徹底することで「注文から納品までの流れ」をカレンダーで俯瞰的に確認できます。
以前はホワイトボードと他社のデータベースツールで受注情報を共有していましたが、管理者の退職を機に「サイボウズ Office」が導入されました。結果、受注情報の共有は、ホワイトボードからクラウド管理になりました。スマホがあれば、どこに何が出荷されるのか外出先でも確認できるようになりました。これまで売上は月末集計だったので翌月はじめに判明していましたが、同アプリの集計機能で知りたいときに集計できるようになりました。経営において重要な情報が早期にわかる効果はとても大きいそうです。
予定調整は、予定調整機能と空き時間の確認を使い分け
5「自動化」で複雑な仕事が瞬時に完了
医療法人豊資会は病院や介護施設を運営する400名規模の会社です。
カレンダーは「予定メニュー+場所+ 内容」で登録
「サイボウズ Office」歴17年目の中島氏は、トップページに掟(おきて)を3点設けています。それはシンプル・手帳レス、そして「俺ルール」です。まずはシンプルについて。トップページ上部には厳選されたアイコンを12個だけ並べます。それ以外のよく使う事柄は「リンク集」として簡潔に表示させることにしています。2つ目は手帳レスです。中島氏は手帳を持っていません。そのため同氏の「サイボウズ Office」のスケジュールには仕事の予定とプライベートの予定が全て書き込まれています。最後の「俺ルール」は2つあります。1つ目は「スケジュール」には「予定メニュー + 場所 + 内容」で登録するというルールです。このルールを円滑に運ぶために338種類の「予定メニュー」がセットされています。おかげでカレンダーが劇的にわかりやすくなりました。
「俺ルール」の2つ目は「自動化」です。カスタムアプリとデータベースを連携させていくつかの仕事を自動化しています。例えば中島氏は「病院の稼働実績」のログを朝イチで確認します。この仕事を効率化するために、見たいログが格納されているデータベースとカスタムアプリをCSVファイルを介して連携し、ワンクリックで集計済みの実績を確認できるようにしています。
社員425名が弁当を注文する「Keiばあちゃん」
中島氏のイチ押しカスタムアプリは「弁当注文アプリKeiばあちゃん」です。社員425名が自社の給食センターに弁当を注文できます。アプリには「配達する施設が選択できる」・「配達先ごとに集計や注文者の一覧を出力できる」・「人事部門が金額を集計機能で計算して給与天引きする」などの特徴があります。
間違いを防ぐ工夫も施されています。1つ目は、ログインしているユーザーだけが注文できるようにすることで、代理注文によるミスを防止しています。2つ目はあらかじめ登録されているカスタムアプリのレコードを編集し、「個数」「配達先の施設名」を選択するだけで注文が完了することで入力ミスを防いでいます。
この仕組みは他社のデータベースで作った職員マスターのCSVファイルを「Keiばあちゃんアプリ」に読み込むことで実現しています。「サイボウズ Office」歴17年の中島氏らしい高度なカスタムアプリに、事例研究会の参加者から感嘆の声があがりました。
豊資会グループの活用法はこちらでもご紹介しています
まとめ
第2回目は大阪開催となったハドルパートナーによる事例研究会。ご参加いただいた皆様の発表や質問によりさまざまな運用のポイントを共有できました。困りごとの共有があったときには、答えをお持ちの方が惜しみなくアイデアを出してくださいました。持ち寄っていただいた活用法と熱心な意見交換のおかげで有意義な研究会になりました。ありがとうございました。